海水淡水化関係用語

【圧力容器】(Pressure vessel)
逆浸透装置のエレメントを包蔵する容器で、運転圧力に耐える強度を有する。耐圧容器ともいう。
【一段脱塩】(Single stage desalination)
1回の脱塩操作で塩水から淡水を得る操作。
【運転圧力】(Operating pressure)
逆浸透装置を運転するときに供給水に加える圧力で供給水が持つ浸透圧の2倍以上の圧力を必要とする。
【SDI(汚れ指数)】(Silt density index)
逆浸透法において、モジュールへの供給水の微量な濁質を定量化する指標で、各種のモジュールへの供給水の濁質はこの数値によって規定される。
【エネルギー回収】(Energy recovery)
有効に利用されずに排出されているエネルギーを回収して再利用すること。逆浸透装置ではモジュールから排出される高圧の濃縮水が持っているエネルギーを、タービンを用いて電気または直接動力として回収すること。エネルギー回収を行うのに用いるタービンをエネルギー回収タービンという。
【MF】(Micro filtration)
精密ろ過のことで懸濁物質や細菌のようなフロックや微粒子の分離を行う。
【エレメント】(Element)
逆浸透膜とその支持体及び流路材を一体化し、圧力容器に納められるように加工成形した部品。
【塩水】(Saline Water)
塩類を含む水の総称で、海水と、かん水を含む。一般にTDS1,000㎎/L以上の水をいう。
【塩素許容量】(Chlorine tolerance)
供給水中の残留塩素の許容量。逆浸透膜には残留塩素に対して耐性を持つ膜(酢酸セルロース膜)と耐性がない膜(ポリアミド膜、ポリエーテル膜など)がある。
【塩素処理】(Chlorine treatment)
殺菌、殺藻や有機物、鉄、マンガン、アンモニアなどを除去する目的で塩素剤を水に加えることの総称をいう。一般に、液化塩素、次亜塩素酸ソーダ、塩水の電解によって生成する塩素などを用いる。
【かん水】(Brackish water)
淡水と海水の、中間の濃度の塩水。一般的にTDS1,000㎎/L~30,000㎎/L程度の水。
【逆浸透(R O)】(Reverse osmosis)
溶液の浸透圧にうちかつ圧力を高濃度液側に加えると、溶媒(水)が浸透現象とは逆に希薄液側へ移行する現象。この際溶質は選択透過性膜で阻止されるので淡水化される。
【逆浸透膜(RO膜)】(Reverse osmosis membrane)
逆浸透法における選択透過性膜をいう。
【逆流洗浄(逆洗)】(Backwash)
ろ過器などの下部から水を逆送して、ろ層を洗浄することをいう。
【供給水】(Feed water)
逆浸透装置に供給する水。一般に原水を前処理してから供給する。
【凝集剤】(Flocculant)
水中の懸濁物質を凝集して、フロックにする目的で添加する薬品をいう。無機凝集剤としては硫酸アルミニウム、塩化第2鉄などがあり、有機凝集剤としてはポリアクリル酸などの合成高分子がある。
【限外ろ過 (UF)】(Ultrafiltration)
分子量30~300万程度の溶質を、膜を用いてろ過する方法。水道での除去対象は懸濁物質、コロイド、細菌、ウイルス、藻類など。
【限外ろ過膜(UF膜)】(Ultrafiltration membrane)
限外ろ過を行うための膜。
【懸濁物質】(Suspended solid(s))
水中に懸濁している物質で、測定方法はJIS K0101,K0102による。
【高圧ポンプ】(High pressure pump)
逆浸透装置の供給水圧力を運転圧力まで昇圧するのに用いる高揚程のポンプをいう。
【酢酸セルロース膜】(Cellulose acetyl membrane)
酢酸セルロースを素材とした膜。
【サックバックタンク】(Suck-back tank)
モジュール内の濃縮水と透過水の濃度差によって起こる正浸透現象を応用して、逆浸透装置が停止するときに逆流させてモジュール内を透過水で置換するため設けた透過水貯槽をいう。
【重亜硫酸ソーダ(SBS)】(Sodium bisulfate soda)
還元剤として用いられる薬品。化学記号NaHSO3でSBSと略称することもある。酸化剤に対する耐性のない逆浸透膜を使用する場合に供給水に添加されることがある。
【純水】(Pure water)
純度の高い水で、一般には電気伝導率が10μS/cm以下程度の純度の水をいう。
【ショックトリートメント】(Shock treatment)
微生物による膜の汚染を防止するために殺菌剤を一時的に大量にモジュール内に注入し、雑菌及び生物の繁殖を抑制する操作。
【浸透圧】(Osmotic pressure)
浸透現象が平衡に達したとき、半透膜の両側に生じる圧力差を溶液の浸透圧という。
【浸透現象】(Osmotic phenomenon)
溶質の濃度の異なる溶液が半透膜を隔てて接するとき、双方の濃度が均一になる方向、つまり濃度の大きい方へ溶媒(水)が移動する現象をいう。
【スケール】(Scale)
塩水を濃縮すると溶解しているカルシウム、マグネシウム、シリカが過飽和になり、炭酸カルシウム水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、珪酸塩となって装置内に析出した物質。このうち後者2つをハードスケールという。
【スパイラル型モジュール】(Spiral-wound type module)
シート状の膜を海苔巻き状に成形加工したモジュールの形成。
【スぺーサー】(Spacer)
膜の間にあり、適正な間隔を保つもの。液流の乱れを促進し、濃度分極を減少させる目的で膜に添わせて挿入した網状構造物をいうことがある。
【生産水】(Product, Product water)
淡水化によって得られた水。
【清澄化】(Clarification)
水中の懸濁物質などを除去し、濁度の低い水とすること。一般には凝集沈澱装置や、ろ過装置などを清澄化装置という。
【精密フィルター】(Micro filter, Micron filter)
限外ろ過よりも粗い孔径0.01~1ミクロンの領域で機能するフィルター。
【洗浄液】(Cleaning solution)
逆浸透膜が汚染された場合の回復方法として薬品洗浄を行うときに用いる溶液。
【淡水】(Fresh water)
飲料に適する程度の塩分濃度の水。 逆浸透装置で淡水化する場合、透過水の水質目標値をWHOの飲料水基準であるTDS500㎎/L以下とすることが多い。
【脱塩】(Desalination)
塩水より塩を取り除き淡水を得る操作。
【中空糸型モジュール】(Hollow fiber type module)
中空糸膜を多数束ねたエレメントを使用したモジュール。
【中空糸膜】(Hollow fiver membranne)
中空の糸状に形成した膜。
【TDS(溶解性蒸発残留物)】(Total dissolved solid(s))
水中に含まれる蒸発残留物のうち懸濁物質を分離した透明な、ろ液を蒸発乾固したときの残留物。TDSは蒸発残留物のうちJIS K0101に示される溶解性蒸発残留物に相当するが、乾燥温度を300℃に高めて測定する場合もある。
【電気伝導率】(Electric conductivity)
断面積1cm2、距離1㎝の相対する電極間にある溶液がもつ電気抵抗の逆数に相当し、S/㎝で表す。水道関係の試験では25℃の値を用いS/㎝の百万分の1を単位とし、μS/㎝で表す。
【透過水】(Permeate water)
逆浸透を透過した水。
【二段脱塩】(Double stage desalination)
塩水を一度脱塩してやや濃度の低い塩水を作り、さらにもう一度脱塩し、二度の操作を繰り返すことによって淡水を得る操作。
【濃縮海水】(Concentrated seawater)
逆浸透膜を透過しない塩が濃縮された水。
【半透膜】(Semi permeable membrane)
溶媒(水)のみを通し、溶質(塩)は通さないという理想的な選択透過性膜。
【フラッシング】(Flushing)
清浄な水を送り込んで装置内の汚れ、薬品の残留物などを水で押し流す処置をいう。
【保安フィルター】(Safety filter)
逆浸透装置の高圧ポンプの前に置き、鉄粒などの異物が管路に流入してポンプを損傷しないようにするためのフィルター。一般にカートリッジタイプの孔径2~20μmのフィルターが使用される。