浸透圧発電について

事業概要

日本で初めての「浸透圧発電」施設を実用化しています。

海水淡水化センターから放流される「濃縮海水」と、福岡市の和白水処理センターから放流する「下水処理水」、二つの水の塩分濃度差により生じる浸透圧を利用し、水車を回して発電を行う「浸透圧発電」の実用化に取り組んでいます。

二つの水は共に博多湾へ放流しており、上下水道の未利用資源を一体的に活用して、新たなエネルギーを生み出しています。


【事業の推移】

令和5年10月 事業着手

令和6年 3月 建設着手

令和7年 8月 運転開始

※ 運転開始後5年間を検証期間としています。

浸透圧発電施設の図
取組の経緯

「濃縮海水」の有効活用により、地球温暖化対策に取り組んでいます。

海水淡水化センターは、海水から真水を取り除く際に、通常の海水より塩分濃度の高い濃縮海水を排出します。福岡地区水道企業団では、建設当初から濃縮海水の有効活用を検討していました。その活用案の一つが「浸透圧発電」であり、大学との共同研究等を行ってきましたが、建設当初の研究では実証に至りませんでした。その後、研究に携わった協和機電工業㈱が自社で研究を続けた結果、令和3年度に実用化の目途が立ったため、企業団と福岡市が実証フィールドを提供することで協力し、本取り組みが実現しました。

海水淡水化センターは安定して水道用水を生産できるものの、海水から淡水を造る過程で多大な電力を消費するため、省エネ化や脱炭素化の推進が長年の課題でありました。福岡地区水道企業団は本事業への協力による更なる脱炭素化の推進に加え、技術の普及により広く地球温暖化対策に寄与できることを意義に、発電に取り組んでいます。


実施体制

浸透圧発電の実施体制

発電原理

浸透圧発電は二つの水の塩分濃度差による「浸透現象(水の移動)」を利用した発電技術です。右図のように圧力を加えた塩水(濃縮海水)と淡水(下水処理水)を浸透膜で仕切ると、 濃度差を薄めようと淡水が塩水側に移動し、圧力の高い塩水の量が増えます。水量が増えた圧力の高い塩水で水車を回転させ発電します。この時、発電電力と使用したポンプの消費電力の差が、浸透圧発電の発電量力(正味電力)となります。

浸透圧発電の発電原理
事業のポイント

浸透圧発電事業には大きく二つのポイントがあります。

・未利用資源の活用

 濃縮海水と下水処理水、二つの放流水に新たな付加価値を創出します。

・高い稼働率

 二つの排水は常時供給可能であるため、天候に左右されず、高い稼働率が実現できます。

 比較)太陽光発電設備の稼働率:約10~20%

    浸透圧発電設備の稼働率:約90%(メンテナンス等による停止込)

施設概要

・設置場所

 福岡地区水道企業団 海の中道奈多海水淡水化センター敷地内

 (福岡県福岡市東区大字奈多1302-122)

・運転開始

 令和7年8月

・施設規模

 正味発電電力 → 約110kW(計画値)

 年間発電量  → 最大約88万kWh(計画値)

 一日使用水量 → 濃縮海水:約1万トン

          下水処理水:約9千トン

施設全景
PRO膜
水車発電機
今後の展望

地球温暖化対策に広く貢献する技術となることを目指しています。

本事業をモデルに、海水淡水化施設の多い中東地域を始め世界各地への技術展開が期待されています。

また浸透圧発電は、塩分濃度差が大きいほど大きな発電が可能であるため、本取り組みでは濃縮海水を利用していますが、現在、通常の海水での発電に向けて開発が進められています。これが実現すれば、全国の沿岸部にある下水処理場において、下水処理水と通常の海水による発電が可能となり、脱炭素社会の実現に大きく寄与することが期待されます。

関連資料