1 計画

 筑後筑後川水系における水資源開発基本計画に基づいて、江川ダム及びその関連施設を建設し、利水容量(農業用水、水道用水、工業用水)を確保するものです。

 

(1)農業用水は、寺内ダムとの総合利用により、小石原川及び佐田川沿岸等の約5,900haの農地に対し、江川ダム有効貯水容量2,400万㎥のうち、1,067万㎥を利用して、最大8.05㎥/sを確保します。

 

(2)水道用水及び工業用水(朝倉市のみ)は、朝倉市の女男石頭首工地点において、福岡市、朝倉市の計最大1.331㎥/sの取水及び導水を可能とするため、933万㎥の容量を有し、また、久留米市瀬の下地点において、当企業団、福岡県南広域水道企業団、佐賀東部水道企業団、鳥栖市の計最大3.65㎥/sの取水を可能とするため、400万㎥の容量を確保します。

 

2 事業経緯

(1)農林省(現:農林水産省)が事業主体となって、昭和39(1964)年度から施行中であったが、昭和41年2月の筑後川水系における水資源開発基本計画に組み込まれ、水資源開発公団(現:独立行政法人水資源機構)がこの事業を継承しました。

 

(2)昭和42年1月主務大臣(厚生大臣、農林大臣、通商産業大臣)の事業実施方針の指示、同年3月、事業実施計画について主務大臣の認可を得て着工しました。その後、事業はおおむね順調に進捗し昭和50年3月に事業が完了しました。

3 建設経過

昭和30年度

九州農政局において予備調査開始

昭和39年度

実施設計調査開始

昭和40年度

事業所設置

昭和41年度

水資源開発基本計画(筑後川水系)の決定
両筑平野用水事業に関する事業実施計画の認可

昭和42年度

水資源開発公団事業継承、建設着手

昭和44年7月

江川ダム工事着手

昭和44年9月

女男石頭首工工事着手

昭和45年3月

幹線水路工事着手

昭和45年7月

女男石頭首工工事完了

昭和47年8月

江川ダム工事完了

昭和49年6月

幹線水路工事完了

昭和50年3月

両筑平野用水事業完了

 

4 概要

事業主体

水資源開発公団(現:独立行政法人水資源機構)

河川名

筑後川水系小石原川

位置

福岡県朝倉市江川字下戸河内

型式

重力式コンクリートダム

目的

農業用水 水道用水 工業用水

堤高

79.2m

堤頂長

297.9m

堤体積

261,000㎥

集水面積

30.0㎢

湛水面積

0.858㎢

非越流頂標高

EL  227.2m

常時満水位

EL  225.0m

最低水位

EL  176.0m

総貯水容量

25,300,000㎥

利水容量

24,000,000㎥

農業用水容量

10,670,000㎥

都市用水容量

9,330,000㎥

新規都市用水容量

4,000,000㎥

(当企業団容量)

(1,829,000㎥)

堆砂容量

1,300,000㎥

主務省

厚生省(現:厚生労働省)農林省(現:農林水産省)通商産業省(現:経済産業省)

管理開始

昭和50年4月

当企業団配分水量

(寺内ダムとの総合利用)  144,200㎥/日

 

5 事業費

 88億円

 

6 企業団負担金

 8億円

7 管理

 水資源開発公団(現:独立行政法人水資源機構)が、昭和50年4月から管理を開始

8 【関連事業】両筑平野用水二期事業

【計画】

 両筑平野用水施設の改築を行うことにより、福岡県の農業用水、水道用水及び工業用水、並びに佐賀県の水道用水の供給のための水路等の機能回復を図るものです。

 

(1)施設の老朽化により、農業用水用埋設管からの漏水が頻繁に発生したり、寺内導水路等のトンネル内の亀裂発生などにより、安定的な水の供給や施設の安全確保が難しくなっているため、水管理を適正化するものです。

 

(2)農業用水の配水操作が人力による現場作業のため、水量の変更や緊急時の迅速な操作などの対応が困難なことから、合理的な水利用の実現を図るものです。

【事業経緯】

(1)両筑平野用水施設は、昭和50(1975)年の管理開始以来、肥沃な農業地帯である両筑平野地域へ農業用水を補給し、食料供給基盤を支える施設としての機能や、福岡・佐賀両県の生活用水や朝倉市の工業用水を供給する重要なライフラインとしての機能を果たしてきました。

 しかし、管理開始から40余年が経過し、施設の老朽化による機能の低下が進行し、安定的な用水供給の確保や施設の安全性確保への危惧が生じてきました。

 さらに、水路施設は、兼業農家の増加に伴う水利用時期の集中化や操作員の高齢化等に加え、施設の老朽化や湧水・ため池等の地区内補助水源の減少により、きめ細やかな配水操作への対応に困難をきたしてきました。

 このため、両筑平野用水二期事業では、老朽化した施設の改築・更新を行うとともに、配水形態を踏まえた施設の改善や水管理システムの導入を行うことにより、水の安定供給と施設の安全性の確保を図るものです。

【建設経過】

平成17年4月26日

筑後川水系水資源開発基本計画の全部変更

平成18年1月24日

両筑平野用水二期事業実施計画の認可

平成25年5月7日

両筑平野用水二期事業実施計画変更の認可

平成30年3月

両筑平野用水二期事業完了

【概要】

江川ダム利水放流施設改築 

 一式

導水路改築         

延長約4.2㎞ (寺内、三奈木導水路)

頭首工改築         

2か所 (女男石、甘木橋頭首工)

幹支線水路改築       

延長約21.2㎞ (トンネル、開水路、管水路等)

操作設備等         

一式

 

【事業費】

 約184.4億円

 

【管理】

 水資源開発公団(現:独立行政法人水資源機構)が、昭和50年4月から管理を開始(事業完了に伴い、平成30年2月に施設管理規程の一部変更)