水源から供給地点までで発生しうるすべての危害を抽出、分析し、特にリスクの高い危害への管理手法を定め、危害が発生した場合の迅速な対応を可能とするため、福岡地区水道企業団水安全計画を策定し、平成24(2012)年3月に運用を開始しました。運用後、毎年、計画の評価、見直しを図りながら徹底した水質管理を行っています。

1 水質管理上の留意点

 当企業団における水質管理上の留意点は下表のとおりです。

工程

危害要因

水質管理上の留意点

水源から牛頸浄水場

降雨による高濁水の発生

濁度の上昇

生活排水、農業排水の流入、降雨による有機物の流入

TOC、UV吸収の上昇、浄水のトリハロメタン類上昇

農薬散布

農薬類の上昇

畜舎等排水の流入

病原性微生物の混入

植物プランクトンの発生

pH値の上昇による凝集不良、カビ臭等の発生、ろ過池の目詰まり等

油類、毒物等による突発事故

油類による臭気、毒物混入

海水淡水化施設

油類・毒物等による海洋汚染

油類による臭気、毒物混入

RO膜設備等の不具合

塩類及びホウ素の除去率の低下

送水

到達時間、ブレンド比率

残留塩素の低下、トリハロメタン類の上昇

送水管の老朽化

鉄、濁度の上昇

2 運用実績

 平成25年~令和4(2022)年の管理基準逸脱事例等は以下のとおりでした。

場所

水源~取水~導水

浄水処理※

海水淡水化処理

送水過程

平成25年

7

107

0

0

平成26年

0

47

0

0

平成27年

0

12

0

1

平成28年

1

42

1

0

平成29年

1

8

0

0

平成30年

1

2

0

0

令和元年

1

0

0

0

令和2年

2

1

0

0

令和3年

0

1

0

0

令和4年

0

4

0

0

合 計

13

224

1

1

※平成29年からは、管理基準逸脱にあたるかの判断を厳格にし、福岡地区水道企業団水安全計画運用委員会に報告することとしました。
 本表には毎年関係部署から報告のあった件数をそのまま計上しています。 

※管理基準
 リスクの高い危害に対して定めた管理手法が機能しているかを示す基準であり、対応措置の発動要件として用いられます。
 管理基準を満足する場合は、管理手法が機能しているため、対応措置は必要ありませんが、満足していない場合は予め定めた対応措置を迅速に行う必要があります。

 (例)
 浄水処理のある工程で残留塩素濃度を管理基準として設定している場合、管理基準を満足していれば、そのまま浄水処理を継続しますが、管理基準を下回る場合は塩素注入率を強化するなど予め定めておいた対応措置を行います。

3 工程別での管理基準逸脱等の主な内容

工程

監視項目

内容例

水源~取水~導水

油分

筑後川に車が転落、筑後川支川への軽油流出(本川に影響)

水量

ポンプの故障・異音、揚水ポンプ・導水ポンプの停止

機器異常

水質モニタリング機器の異常

その他

牛乳の流出

浄水処理

残留塩素

追塩素のトラブル、ろ過水残塩の低下、機器故障による次亜注入停止、浄水池入口残塩計故障による後次亜過剰注入

耐塩素性病原微生物

クリプトスポリジウム等の原水での検出

pH

PAC配管漏洩によるpH低下

油等

油流出事故

濁度

河川水・原水・沈でん処理水、ろ過水の濁度上昇

水量

落雷・停電・信号の異常など電気系統のトラブル、流量計異常による一時的な送水量増量

その他

サンプリングポンプの異常、水質計器の異常、配管の漏水・破損による異常、残塩計の異常

海水淡水化施設

ホウ素

下原混合水でホウ素濃度上昇(水質基準は満足)

送水過程

水量

送水管の漏水事故

 

4 評価及び見直し

 毎年、運用実績をもとに水安全計画の評価や見直しを行い、その結果をもとに管理基準や対応マニュアルを改正し、また、施設や組織の変更に伴う時点修正を行い、水安全計画を改正しています。

 令和3(2021)年度の見直しでは残塩低下事象について水安全計画に盛り込みました。今後もPDCAサイクルを用いたマネジメントシステムにより、継続的に見直しを行うことで、水安全計画を充実させていきます。